ARGX-113-1802(国際共同第Ⅱ相試験)

「禁忌を含む注意事項等情報」等は電子添文をご参照ください。

試験概要

目的

成人CIDP患者に対するヒフデュラ®の有効性、安全性及び忍容性を評価する

試験デザイン

第Ⅱ相、多段階、多施設共同(日本を含む22か国の146施設)
ステージA:非盲検
ステージB:ランダム化治療中止、二重盲検、プラセボ対照

対象

probable又はdefinite CIDPと診断された進行性又は再発性のCIDP患者322例(日本人24例)
ステージAのレスポンダーはステージBに移行し、ヒフデュラ®群とプラセボ群に1:1で無作為割付された
(ステージA:322例、ステージB ヒフデュラ®群:111例、ステージB プラセボ群:110例)

※ ステージAで臨床的改善のエビデンス(ECI)が確認された患者

主な選択基準

  • 18歳以上で、European Federation of Neurological Societies/Peripheral Nerve Society(EFNS/PNS)の診断基準(2010)に基づいてprobable又はdefinite CIDPと診断され、進行性又は再発性の患者
  • スクリーニング時点で、CIDP Disease Activity Status(CDAS)スコアが2点以上であった患者
  • 導入期間の初回来院時又はステージAベースラインで、INCATスコアが2点以上であった患者
  • 以下のいずれかの治療状況を満たしている場合
    • スクリーニング前6ヵ月以内に、ステロイドパルス療法、プレドニゾロン/prednisone注1) 10mg/日換算量以下の経口副腎皮質ステロイド薬、又は免疫グロブリン療法(IVIg又はSCIg)注2)の治療を受けており、導入期間の初回来院時にこの治療法を中止する意思がある
    • 未治療(過去にCIDPの治療歴がないか、副腎皮質ステロイド薬、免疫グロブリン療法(IVIg又はSCIg)注2)による治療をスクリーニング前6ヵ月以上受けていない)

注1)prednisoneは本邦未承認である。
注2)一部の副腎皮質ステロイド薬、IVIg及びSCIgはCIDPに対して本邦未承認である。

投与方法

  • ステージA:ヒフデュラ®注)を週1回皮下投与した(12週間以内※1
  • ステージB:ステージAのレスポンダー※2をヒフデュラ®注)群とプラセボ群※3に1:1で無作為割付し、週1回皮下投与した(48週間以内※4
投与方法について

注)ARGX-113-1802試験では2つの製剤が用いられ、エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として、それぞれ1,006.5mg 及び12,200単位又は1,008mg及び11,200単位のいずれかが投与された。
なお、エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)1,006.5mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)12,200単位は本邦未承認用量である。
※1 ステージAでは、連続する2回の来院時にECIが確認されるまで、ヒフデュラ®の週1回投与を4~12週間行った。12週目で初回のECIが確認され、1週間後に再度ECIを確認する場合に1週間の延長を可能とした。
※2 ステージAで臨床的改善のエビデンス(ECI)が確認された患者
※3 ステージBプラセボ群では、ボルヒアルロニダーゼのみを週1回皮下投与した。
※4 88件目の臨床的悪化(再発)のイベントが発現した時点で試験を終了した。

評価項目

ステージA

【主要評価項目】

  • ステージA期間中に臨床的改善のエビデンス(ECI)※1が確認された患者の割合(検証項目)

【副次評価項目】

  • ステージA期間中に初めて臨床的改善のエビデンス(ECI)が確認されるまでの期間
  • ステージA期間中に初めて臨床的に意味のある改善※2が確認されるまでの期間
  • ステージAベースラインからの調整INCATスコアの変化量
  • ステージAベースラインからのI-RODSスコアの変化量
  • ステージAベースラインからの平均握力の変化量
  • ステージAベースラインからのMRC合計スコアの変化量
  • ステージAベースラインからのTUGスコアの変化量
  • ステージAベースラインからのEQ-5D-5L VASスコアの変化量
  • ステージA期間中の血清中IgG(総IgG)濃度の変化率
  • ステージA期間中にエフガルチギモドに対する抗薬物抗体(ADA)及びボルヒアルロニダーゼに対する抗体が認められた患者の割合
  • ステージA期間中のエフガルチギモドに対する中和抗体の有無及びボルヒアルロニダーゼに対する中和抗体の抗体価
  • 有害事象及び重篤な有害事象※3
  • 臨床的に重要な臨床検査値異常の発現

※1 ECIは、ステージAベースラインと比べて調整INCATスコアの1点以上の改善が確認された場合と定義された。導入期間に調整INCATスコアの変化がなかった未治療ではない患者では、導入期間に臨床的悪化を確認した有効性パラメータに基づき、I-RODSスコアの4点以上の改善、平均握力の8kPa以上の増加又はその両方が確認された場合とした。なお、確認とは、本剤が4回以上投与されており、連続する2回の来院で同じ有効性パラメータについて基準を満たすことと定義した。
※2 臨床的に意味のある改善は、ステージAベースラインと比べて調整INCATスコアが1点以上の改善、I-RODSスコアが4点以上の改善又は平均握力が8kPa以上の増加のいずれかを満たした場合と定義された。
※3 治験薬の初回投与から最終投与後28日までに報告された有害事象

ステージB

【主要評価項目】

  • ステージBベースラインから臨床的悪化(再発)※1が初めて認められるまでの期間(検証項目)

【副次評価項目】

  • CIDPの疾患進行までの期間※2
  • ステージBベースラインから48週までにI-RODSスコアの改善が認められた患者の割合※3
  • ステージBベースラインからの調整INCATスコアの変化量
  • ステージBベースラインからのI-RODSスコアの変化量
  • ステージBベースラインからの平均握力の変化量
  • ステージBベースラインからのMRC合計スコアの変化量
  • ステージBベースラインからのTUGスコアの変化量
  • ステージBベースラインからのEQ-5D-5L VASスコアの変化量
  • ステージB期間中の血清中IgG(総IgG)濃度の変化率
  • ステージB期間中にエフガルチギモドに対する抗薬物抗体(ADA)及びボルヒアルロニダーゼに対する抗体が認められた患者の割合
  • ステージB期間中のエフガルチギモドに対する中和抗体の有無及びボルヒアルロニダーゼに対する中和抗体の抗体価
  • 有害事象及び重篤な有害事象※4
  • 臨床的に重要な臨床検査値異常の発現

※1 臨床的悪化(再発)は、ステージBベースラインと比べて調整INCATスコアが1点以上悪化した場合と定義された。なお、連続する2回の来院で、ステージBベースラインに比べて調整INCATスコア1点の増加が確認される必要があった。2点以上の悪化が認められた場合は、確認は不要とした。
※2 CIDPの疾患進行までの期間は、ステージBの治験薬の初回投与を起点とし、I-RODSスコアがステージBベースラインと比べ、初めて4点以上悪化するまでの期間と定義された。
※3 I-RODSスコアの改善は、ステージB期間中に少なくとも1回以上、I-RODSスコアが4点以上改善した患者と定義した。
※4 治験薬の初回投与から最終投与後28日までに報告された有害事象

解析方法

ステージA

【主要評価項目】

主要評価項目はClopper-Pearson正確法の両側95%信頼区間を用いて要約することとした。なお、事前に規定した感度分析として、ステージBで88件目のイベントが発現し本試験の最後の患者の最終来院時点でステージAを実施中であった患者を全て除外して解析することとした。

【副次評価項目】

副次評価項目は記述統計量により要約した。

ステージB

【主要評価項目】

プラセボ群と比較したヒフデュラ®群のイベント発現率は1であるという帰無仮説を事前に設定した。Cox比例ハザードモデルは、ステージBベースラインから臨床的悪化(再発)が初めて認められるまでの期間を従属変数、投与群を独立変数として適合させた。Cox比例ハザードモデルは、CIDPの直近6ヵ月以内の前治療歴とステージA期間中の調整INCATスコア減少で層別化した。なお、要約指標はプラセボ群に対するヒフデュラ®群のハザード比であり、対応するWald型95%信頼区間及び両側p値を示すこととした。

【副次評価項目】

副次評価項目は記述統計量により要約した。
なお、CIDPの疾患進行までの期間は、投与群を固定効果としたCox比例ハザードモデル、ステージBベースラインから48週までにI-RODSスコアの改善が認められた患者の割合は、投与群を固定効果とし、層別因子で層別化した正確なロジスティック回帰分析を用いて解析することとした。

患者の内訳

本試験に参加した342例のうち、36例はステージAに直接登録され、導入期間から参加した306例中286例がステージAに登録されました。ステージA登録例322例中221例がステージBに登録され、ヒフデュラ®群とプラセボ群に1:1で無作為割付されました。
ステージBで88件目の臨床的悪化(再発)のイベントが発現した時点で、ヒフデュラ®群のうち64例が試験を完了し、35例がステージB実施中、12例がステージBの途中で試験から脱落しました。一方、プラセボ群のうち74例が試験を完了し、26例がステージB実施中、10例がステージBの途中で試験から脱落しました。また、導入期間中であった7例とステージA実施中であった22例は、継続投与試験へと移行しました。

患者の内訳

患者の内訳について

※1 ステージBで88件目の臨床的悪化(再発)のイベント発現後に継続投与試験に移行
※2 ステージBにおいて48週間の治験薬投与を完了又はイベントの発現

患者背景

ステージAベースラインにおける患者背景

ステージAベースラインにおける患者背景

ステージBベースラインにおける患者背景

ステージBベースラインにおける患者背景

プラセボ群の日本人集団は例数10例未満のため(%)は記載していない。

有効性評価

ステージA

主要評価項目

ステージA期間中に臨床的改善のエビデンス(ECI)が確認された患者の割合

ステージAの主解析では、ヒフデュラ®の投与を受けたCIDP患者322例中214例(66.5%、95%信頼区間:61.0, 71.6)でECIが確認されました(検証的な解析結果)。
また、事前に規定した感度分析では、ヒフデュラ®の投与を受けたCIDP患者304例中214例(70.4%、95%信頼区間:64.9, 75.5)でECIが確認されました。

ステージA期間中にECIが確認された患者の割合

ステージA期間中にECIが確認された患者の割合

ステージA安全性解析対象集団
※ 主解析では、ECIが確認されずにステージAを実施中であった患者をノンレスポンダーとして含めたため、本試験の最後の患者の最終来院時点でステージAを実施中であった患者を全て除外して解析を行った。
ECIは、ステージAベースラインと比べて調整INCATスコアの1点以上の改善が確認された場合と定義された。導入期間に調整INCATスコアの変化がなかった未治療ではない患者では、導入期間に臨床的悪化を確認した有効性パラメータに基づき、I-RODSスコアの4点以上の改善、平均握力の8kPa以上の増加又はその両方が確認された場合とした。なお、確認とは、本剤が4回以上投与されており、連続する2回の来院で同じ有効性パラメータについて基準を満たすことと定義した。

副次評価項目

ステージA期間中に初めて臨床的に意味のある改善が確認されるまでの期間

ステージAにおいて、初めて臨床的に意味のある改善が確認されるまでの期間(中央値)は22.0日(95%信頼区間:15.0, 23.0)でした。また、25%の患者ではヒフデュラ®の最初の投与から9日後に臨床的に意味のある改善が確認されました。

ステージA期間中に初めて臨床的に意味のある改善が確認されるまでの期間

ステージA期間中に初めて臨床的に意味のある改善が確認されるまでの期間

ステージA安全性解析対象集団
※ 投与4週目からステージAからステージBに移行する患者が認められた。
臨床的に意味のある改善は、ステージAベースラインと比べて調整INCATスコアが1点以上の改善、I-RODSスコアが4点以上の改善又は平均握力が8kPa以上の増加のいずれかを満たした場合と定義された。

副次評価項目

ステージAベースラインからの調整INCATスコアの変化量

ステージA最終評価時におけるステージAベースラインからの調整INCATスコアの平均変化量(標準偏差)は-0.9点(1.71)でした。

ステージA最終評価時におけるステージAベースラインからの調整INCATスコアの変化及び変化量

ステージA最終評価時におけるステージAベースラインからの調整INCATスコアの変化及び変化量

ステージA安全性解析対象集団
INCATは、上肢と下肢の運動機能をそれぞれ0から5点で評価を行う。1点以上の改善があれば有意な改善と評価することができる。順位尺度であるためINCAT 1→2点の変化と、2→3点の変化とでは臨床的に同等の重みを持つわけではないことに注意が必要である。
上肢の障害
0:障害はない、1:片側ないし両側の上肢の障害があるが、以下のいずれの上肢機能も損なわれていない〈ジッパーの開閉とボタンがけ、洗髪と整髪、ナイフとフォークの使用(ナイフとフォークの習慣がない場合は、スプーンの使用)、小さな硬貨を扱う〉、2:片側ないし両側の上肢の障害があり、上記の4つのいずれかに影響があるが遂行できないものはない、3:片側ないし両側の上肢の障害があり、上記の4つのうち1つないし2つが遂行できない、4:片側ないし両側の上肢の障害があり、上記の4つのうち3つないしすべてが遂行できない、5:いずれの上肢でも目的を持った動きが不可能
下肢の障害
0:歩行障害はない、1:歩行障害がある。しかし戸外で独歩可能、2:戸外の歩行に日常的に片側のサポート(杖、松葉杖、1本の腕)を必要とする、3:戸外の歩行に日常的に両側のサポート(2本杖、2本の松葉杖、歩行補助器、2本の腕の支持)を必要とする、4:戸外の移動には日常的に車椅子が必要。しかし、助けがあれば立位や数歩の歩行が可能、5:移動は車椅子に限定され、助けがあっても立位や数歩の歩行は不可能

副次評価項目

ステージAベースラインからのI-RODSスコアの変化量

ステージA最終評価時におけるステージAベースラインからのI-RODSスコアの平均変化量(標準偏差)は7.7点(15.48)でした。

ステージA最終評価時におけるステージAベースラインからのI-RODSスコアの変化及び変化量

ステージA最終評価時におけるステージAベースラインからのI-RODSスコアの変化及び変化量

ステージA安全性解析対象集団
I-RODSは、生活にかかわる24の簡単な質問について、患者自身が、0:できない、1:やや困難であるができる、2:簡単にできる、の3段階で回答する。得られた得点を合計し、ノモグラムを用いた百分率に変換して用いる。4%以上の変化があれば臨床的改善としてよい。
評価項目(24項目)
新聞/本を読む、食べる、自分の歯を磨く、上半身を洗う、トイレに座る、サンドイッチを作る、上半身の着衣、下半身を洗う、椅子を移動させる、錠のなかの鍵を回す、かかりつけ医へ通院、シャワーを浴びる、皿を洗う、ショッピングする、物をつかむ(ボールなど)、体をかがめて物をつかむ、階段一段を歩く、公共交通機関で移動する、歩いて障害物を避ける、1km未満の屋外歩行、「重たい物を運び」かつ「降ろせる」、ダンス、数時間の起立、走る

副次評価項目

ステージAベースラインからの平均握力の変化量

ステージA最終評価時におけるステージAベースラインからの平均握力の平均変化量(標準偏差)は、利き手で12.3 kPa(18.68)、非利き手で11.2 kPa(21.12)でした。

ステージA最終評価時におけるステージAベースラインからの平均握力の変化及び変化量

ステージA最終評価時におけるステージAベースラインからの平均握力の変化及び変化量

ステージA安全性解析対象集団
握力は、8~14kPa以上の上昇があった場合、有意な改善とされる。

副次評価項目

ステージAベースラインからのMRC合計スコアの変化量

ステージA最終評価時におけるステージAベースラインからのMRC合計スコアの平均変化量(標準偏差)は3.8点(7.24)でした。

ステージA最終評価時におけるステージAベースラインからのMRC合計スコアの変化及び変化量

ステージA最終評価時におけるステージAベースラインからのMRC合計スコアの変化及び変化量

ステージA安全性解析対象集団
MRC合計スコアは、肩関節外転、肘関節屈曲、手関節背屈、股関節屈曲、膝関節伸展、足関節背屈に関して、両側で筋力テストを行い、0~5点の6段階で評価する。合計点で評価する。正常は60点である。2~4点以上の改善があれば、臨床的に有意な改善としてよい。

副次評価項目

ステージAベースラインからのTUGスコアの変化量

ステージA最終評価時におけるステージAベースラインからのTUGスコアの平均変化量(標準誤差)は-4.3秒(0.83)でした。

ステージA安全性解析対象集団
TUGスコアは、歩行機能の指標として用いられる。患者を椅子に座らせて、3m先まで往復し、椅子に座るまでの時間を計測する。臨床的に有意な改善の指標について、CIDPにおけるデータはない。

副次評価項目

ステージAベースラインからのEQ-5D-5L VASスコアの変化量

ステージA最終評価時におけるステージAベースラインからのEQ-5D-5L VASスコアの平均変化量(標準誤差)は10.7点(1.34)でした。 

ステージA安全性解析対象集団
EQ-5D-5Lは、QOLの評価方法であり、5つの項目(①移動の程度、②身の回りの管理、③普段の活動、④痛み・不快感、⑤不安・ふさぎ込み)について、それぞれ、患者自身が回答する記述式評価と、VASを用いた評価(EQ VAS)で構成されている。評価は5段階である。

ステージB

主要評価項目

ステージBベースラインから臨床的悪化(再発)が初めて認められるまでの期間

ステージBで臨床的悪化(再発)のイベントが初めて認められた90例のうち、31例(27.9%)がヒフデュラ®群、59例(53.6%)がプラセボ群でした。ヒフデュラ®群ではプラセボ群と比べ、再発率は有意に低く、ハザード比は0.394(95%信頼区間:0.253, 0.614;p<0.0001、投与群を固定効果としたCox比例ハザードモデル)でした(検証的な解析結果)。

ステージBベースラインから臨床的悪化(再発)が初めて認められるまでの期間のハザード比

ステージBベースラインから臨床的悪化(再発)が初めて認められるまでの期間のハザード比

mITT集団
投与群を固定効果としたCox比例ハザードモデル
層別因子:ステージA期間中の調整INCATスコア(減少なし、又は1点以上減少)、CIDPの直近6ヵ月以内の前治療歴[スクリーニング前6ヵ月以内の免疫グロブリン療法(IVIg又はSCIg)治療歴あり、スクリーニング前6ヵ月以内の副腎皮質ステロイド薬治療歴あり、又は未治療]
※ 主要評価項目の解析に必要な88例と、88例目の発現から最後の患者の最終来院までに発現した2例

また、臨床的悪化(再発)の割合の推定値は、24週時においてヒフデュラ®群で26.2%(95%信頼区間:18.6, 36.2)、プラセボ群で54.3%(95%信頼区間:44.8, 64.4)であり、48週時においてヒフデュラ®群で34.0%(95%信頼区間:24.9, 45.2)、プラセボ群で59.8%(95%信頼区間:50.0, 69.9)でした。

ステージBベースラインから臨床的悪化(再発)が初めて認められるまでの期間

ステージBベースラインから臨床的悪化(再発)が初めて認められるまでの期間

mITT集団
臨床的悪化(再発)は、ステージBベースラインと比べて調整INCATスコアが1点以上悪化した場合と定義された。なお、連続する2回の来院で、ステージBベースラインに比べて調整INCATスコア1点の増加が確認される必要があった。2点以上の悪化が認められた場合は、確認は不要とした。

副次評価項目

CIDPの疾患進行までの期間

CIDPの疾患進行までの期間(中央値)は、ヒフデュラ®群で未到達(95%信頼区間:247.0, 算出せず)、プラセボ群で85日(95%信頼区間:50.0, 253.0)でした。ヒフデュラ®群でプラセボ群と比べ、CIDPの疾患進行までの期間は有意に長く、ハザード比は0.537(95%信頼区間:0.354, 0.814;名目上のp値=0.0034、投与群を固定効果としたCox比例ハザードモデル)でした。

CIDPの疾患進行までの期間

CIDPの疾患進行までの期間

mITT集団
投与群を固定効果としたCox比例ハザードモデル
層別因子:ステージA期間中の調整INCATスコア(減少なし、又は1点以上減少)、CIDPの直近6ヵ月以内の前治療歴[スクリーニング前6ヵ月以内の免疫グロブリン療法(IVIg又はSCIg)治療歴あり、スクリーニング前6ヵ月以内の副腎皮質ステロイド薬治療歴あり、又は未治療]
CIDPの疾患進行までの期間は、ステージBの治験薬の初回投与を起点とし、I-RODSスコアがステージBベースラインと比べ、初めて4点以上悪化するまでの期間と定義された。

また、CIDP疾患進行率のKaplan-Meier 推定値は、24週時においてヒフデュラ®群で36.7%(95%信頼区間:27.7, 47.5)、プラセボ群で56.8%(95%信頼区間:46.9, 67.2)、48週時においてヒフデュラ®群で44.9%(95%信頼区間:34.3, 57.0)、プラセボ群で62.6%(95%信頼区間:51.9, 73.3)と推定されました。

副次評価項目

ステージBベースラインから48週までにI-RODSスコアの改善が認められた患者の割合

ステージBベースラインから48週までにI-RODSスコアの改善が認められた患者の割合は、ヒフデュラ®群で45.0%、プラセボ群で36.4%であり、プラセボ群に対するヒフデュラ®群のオッズ比は1.441(正確な両側95%信頼区間:0.814, 2.567;名目上のp値=0.2294、投与群を固定効果とした正確なロジスティック回帰分析)でした。

ステージBベースラインから48週までにI-RODSスコアの改善が認められた患者の割合

ステージBベースラインから48週までにI-RODSスコアの改善が認められた患者の割合

mITT集団
投与群を固定効果とした正確なロジスティック回帰分析
層別因子:ステージA期間中の調整INCATスコア(減少なし、又は1点以上減少)、CIDPの直近6ヵ月以内の前治療歴[スクリーニング前6ヵ月以内の免疫グロブリン療法(IVIg又はSCIg)治療歴あり、スクリーニング前6ヵ月以内の副腎皮質ステロイド薬治療歴あり、又は未治療]
I-RODSスコアの改善は、ステージB期間中に少なくとも1回以上、I-RODSスコアが4点以上改善した患者と定義した。

副次評価項目

ステージBベースラインからの調整INCATスコアの変化量

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからの調整INCATスコアの平均変化量(標準偏差)は、ヒフデュラ®群で0.1点(1.08)、プラセボ群で0.9点(1.98)でした。

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからの調整INCATスコアの変化及び変化量

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからの調整INCATスコアの変化及び変化量

mITT集団

副次評価項目

ステージBベースラインからのI-RODSスコアの変化量

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからのI-RODSスコアの平均変化量(標準偏差)は、ヒフデュラ®群で0.8点(12.33)、プラセボ群で-7.0点(19.10)でした。

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからのI-RODSスコアの変化及び変化量

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからのI-RODSスコアの変化及び変化量

mITT集団

副次評価項目

ステージBベースラインからの平均握力の変化量

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからの平均握力の平均変化量(標準偏差)は、ヒフデュラ®群の利き手で2.1kPa(13.29)、非利き手で2.0kPa(17.33)、プラセボ群の利き手で-8.2kPa(20.69)、非利き手で-6.9kPa(21.30)でした。

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからの利き手の平均握力の変化及び変化量

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからの利き手の平均握力の変化及び変化量

mITT集団

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからの非利き手の平均握力の変化及び変化量

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからの非利き手の平均握力の変化及び変化量

mITT集団

副次評価項目

ステージBベースラインからのMRC合計スコアの変化量

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからのMRC合計スコアの平均変化量(標準偏差)は、ヒフデュラ®群で-0.3点(4.53)、プラセボ群で-3.0点(8.95)でした。

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからのMRC合計スコアの変化及び変化量

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからのMRC合計スコアの変化及び変化量

mITT集団

副次評価項目

ステージBベースラインからのTUGスコアの変化量

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからのTUGスコアの平均変化量(標準誤差)は、ヒフデュラ®群で0.8秒(0.36)、プラセボ群で1.9秒(0.60)でした。

mITT集団

副次評価項目

ステージBベースラインからのEQ-5D-5L VASスコアの変化量

ステージB最終評価時におけるステージBベースラインからのEQ-5D-5L VASスコアの平均変化量(標準誤差)は、ヒフデュラ®群で0.5点(1.77)、プラセボ群で-10.2点(2.47)でした。

ステージB安全性解析対象集団

薬力学的作用

副次評価項目

ステージA期間中及びステージB期間中の血清中IgG(総IgG)濃度の変化率

ステージAにおいて、ヒフデュラ®を1週間間隔で投与した際の総IgG濃度の平均値(標準誤差)は、ベースラインで1300.1mg/dL(27.5)であり、ベースラインからの変化率の推移は下図のとおりでした。

ステージAベースラインに対する総IgG濃度の変化率

ステージAベースラインに対する総IgG濃度の変化率

免疫原性

副次評価項目

ステージA期間中及びステージB期間中にエフガルチギモドに対する抗薬物抗体(ADA)及びボルヒアルロニダーゼに対する抗体が認められた患者の割合

エフガルチギモドに対するADA及びボルヒアルロニダーゼに対する抗体は、エフガルチギモドの薬物動態、薬力学的作用、有効性及び安全性に影響を及ぼしませんでした。
ステージA期間中のエフガルチギモドに対するADAの発現割合は6.3%でした。また、ボルヒアルロニダーゼに対する抗体の発現割合は14.2%でした。
ステージB期間中のエフガルチギモドに対するADAの発現割合は、ヒフデュラ®群で1.8%、プラセボ群で58.7%でした。
また、ボルヒアルロニダーゼに対する抗体の発現割合は、ヒフデュラ®群で46.8%、プラセボ群で29.4%でした。

副次評価項目

ステージA期間中及びステージB期間中のエフガルチギモドに対する中和抗体の有無とボルヒアルロニダーゼに対する中和抗体の抗体価

エフガルチギモドに対する中和抗体及びボルヒアルロニダーゼに対する中和抗体は、エフガルチギモドの薬物動態、薬力学的作用、有効性及び安全性に影響を及ぼしませんでした。
ステージA期間中のエフガルチギモドに対する中和抗体の発現割合は0.3%でした。
また、ボルヒアルロニダーゼに対する中和抗体は検出されませんでした。
ステージB期間中のエフガルチギモドに対する中和抗体の発現割合は、ヒフデュラ®群で未検出、プラセボ群で11.9%でした。
また、ボルヒアルロニダーゼに対する中和抗体は、ヒフデュラ®群及びプラセボ群で検出されませんでした。

安全性評価

副次評価項目

有害事象

  • 有害事象はステージAのヒフデュラ®群で322例中204例(63.4%)、ステージBのヒフデュラ®群で111例中71例(64.0%)、プラセボ群で110例中62例(56.4%)に認められました。
  • 主な有害事象(いずれかの群で5%以上に発現)は、下表のとおりでした。
  • 重篤な有害事象は、ステージAのヒフデュラ®群で21例(CIDPが14例、COVID-19、心停止・COVID-19の疑い、COVID-19肺炎、尿路結石、四肢不全麻痺、クロストリジウム・ディフィシレ大腸炎、皮膚有棘細胞癌が各1例)、ステージBのヒフデュラ®群で6例(前立腺癌、移行上皮癌・尿道狭窄・膀胱ポリープ、胆石症、足骨折、脳振盪、COVID-19肺炎が各1例)、ステージBのプラセボ群で6例(片耳難聴、虫垂炎、脂肪腫、CIDP、肺炎・脱水、膜性糸球体腎炎が各1例)に認められました。
  • 投与中止に至った有害事象は、ステージAのヒフデュラ®群で22例(CIDPが15例、COVID-19、心停止、そう痒症、COVID-19肺炎、四肢不全麻痺、筋力低下、注射部位発疹が各1例)、ステージBのヒフデュラ®群で3例(前立腺癌、移行上皮癌、COVID-19肺炎が各1例)、ステージBのプラセボ群で1例(肺炎)に認められました。
  • 本試験中に3例の死亡が報告され、ステージAの2例(心停止、CIDPが各1例)は治験責任医師によって治験薬との関連が否定され、ステージBのプラセボ群の1例(肺炎)は治験責任医師によって治験薬との関連が否定できないと判断されました。

有害事象の概要

有害事象の概要

例数(%)
有害事象は、治験薬の初回投与から最終投与の28日後までに発現した有害事象と定義した。
重症度判定にはCTCAE v5.0を使用

主な有害事象(いずれかの群で5%以上に発現)

主な有害事象(いずれかの群で5%以上に発現)

例数(%)
有害事象は、治験薬の初回投与から最終投与の28日後までに発現した有害事象と定義した。
MedDRA version 25.1

副次評価項目

臨床的に重要な臨床検査値異常の発現

血清アルブミン濃度の平均値(標準偏差)は、ベースラインで45.260g/L(3.5113)であり、ステージA最終評価時で50.681g/L(4.6583)、ステージBの12週時においてヒフデュラ®群で52.825g/L(3.5623)、プラセボ群で45.816g/L(3.3334)でした。

ステージA最終評価時における血清アルブミン濃度

ステージA最終評価時における血清アルブミン濃度

ステージBの12週時における血清アルブミン濃度

ステージBの12週時における血清アルブミン濃度

自己投与

事後解析

本データは事後解析であるが、自己投与の実施可能性について適切に情報提供することを目的として掲載する。

自己投与が可能と判断された患者の割合

ARGX-113-1802試験中、自己投与のトレーニングを受けた104例(93.7%)のうち、78例(75.0%)がヒフデュラ®の自己投与可能と判断されました。

トレーニング後、ヒフデュラ®の自己投与が可能と判断された患者

トレーニング後、ヒフデュラ®の自己投与が可能と判断された患者

治験時は薬液採取には注射針、投与時には翼状針を使用したため、薬事承認後と使用機器が異なる。

CDAS:CIDP Disease Activity Status
CIDP:chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy:慢性炎症性脱髄性多発根神経炎
ECI:evidence of clinical improvement:臨床的改善のエビデンス
EQ-5D-5L:EuroQol 5 dimensions and 5 levels health-related quality-of life questionnaire
INCAT:Inflammatory Neuropathy Cause and Treatment  
I-RODS:Inflammatory-Rasch-built Overall Disability Scale
IVIg:intravenous immunoglobulin:経静脈的免疫グロブリン療法
MRC:Medical Research Council
SCIg:subcutaneous immunoglobulin:経皮的免疫グロブリン療法
TUG:timed up and go
VAS:visual analog scale

Allen JA, et al.: Lancet Neurol. 2024; 23(10): 1013–1024.(PMID:39304241)
[COI]本試験はargenx社の支援のもと行われた。著者にargenx社よりコンサルタント料等を受領している者が含まれる。また、著者にargenx社の社員が含まれる。
社内資料:第Ⅱ相試験(ARGX-113-1802試験)(2024年12月承認、CTD2.7.6.1)(EFG90116)
社内資料:1802試験(2024年12月承認、CTD2.7.3.2.1)(EFG90110)
社内資料:有害事象の解析(2024年12月承認、CTD2.7.4.2.1)(EFG90112)
社内資料:自己投与(2024年12月承認、CTD2.7.4.5.2.2)(EFG90113)
社内資料:薬力学(ARGX-113-1802)(2024年12月承認、CTD 2.7.2.2.2.1.1)(EFG90107)
社内資料:免疫原性(2024年12月承認、CTD2.7.2.4.1)(EFG90109)
社内資料:審査報告書(2024年12月承認)

6. 用法及び用量(抜粋) 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎〉
通常、成人には本剤1回5.6mL(エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)として1,008mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として11,200単位)を週1回皮下投与する。
8. 重要な基本的注意(抜粋)
8.2
本剤の自己投与に際しては、以下の点に注意すること。
・ 自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。
・ 使用済みの注射針及び注射器を再使用しないように患者に注意を促し、すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導を行うこと。

JP-VDJCIDP-24-00062(2024年12月作成)