FcRnは主として細胞内に局在し、細胞内に取り込まれたIgG自己抗体を含むIgGとエンドソーム内(酸性条件下)で結合して、IgG自己抗体を含むIgGがリソソームに輸送されて分解されるのを抑制し、細胞外に再度放出(リサイクル)します。FcRnは、この機序によりIgG自己抗体を含むIgGの血中濃度を維持します1,2,3)。
FcRnは主として細胞内に局在し、細胞内に取り込まれたIgG自己抗体を含むIgGとエンドソーム内(酸性条件下)で結合して、IgG自己抗体を含むIgGがリソソームに輸送されて分解されるのを抑制し、細胞外に再度放出(リサイクル)します。FcRnは、この機序によりIgG自己抗体を含むIgGの血中濃度を維持します1,2,3)。
※ACh-AChRの結合阻害、AChRの分解促進、補体活性化
FcRnはIgGのほかに、アルブミンのリサイクリング等も担いますが、アルブミンとIgGの結合部位の違いから、IgGとアルブミンは拮抗することなくFcRnに結合します2,3)。
1)Ulrichts P, et al. J Clin Invest. 2018;128(10):4372-4386.
[COI] 本試験はargenx社の支援のもと行われた。著者にargenx社よりコンサルタント料等を受領している者が含まれる。また、著者にargenx社の社員が含まれる。
2)Ward ES, et al.: Front Immunol. 2022; 13.
3)Anderson CL, et al.: Trends Immunol. 2006; 27(7): 343-348
エフガルチギモドは、胎児性Fc受容体(FcRn)を標的とするアミノ酸残基を改変したヒトIgG1抗体のFcフラグメントです1)。
1)Howard JF Jr, et al.: Lancet Neurol. 2021; 20(7): 526-536.
ボルヒアルロニダーゼは主に真皮の結合皮質であるヒアルロン酸を加水分解し、一過性かつ局所的に皮下組織の浸透性を増加させ1)、エフガルチギモドの体内への拡散、吸収を促進させます2)。
1) Frost GI, et al.: Expert Opin Drug Deliv. 2007; 4(4): 427-440.
2) Locke KW, et al.: Drug Deliv. 2019; 26(1): 98-106.
エフガルチギモドはFcRnに結合し、IgG自己抗体を含むIgGがFcRnへ結合するのを競合阻害します。FcRnと結合していないIgG自己抗体を含むIgGはリソソームで分解されます。つまりエフガルチギモドはIgG自己抗体を含むIgGのリサイクルを阻害して、その分解を促進し、IgG自己抗体を含む血中IgG濃度を減少させます1-10)。
1)ウィフガート®点滴静注400mg 電子添文
2)Wolfe GI, et al. J Neurol Sci. 2021;430:118074.
3)Howard JF Jr, et al. Lancet Neurol. 2021;20(7):526-536.
4)Roopenian DC, Akilesh S. Nat Rev Immunol. 2007;7(9):715-725.
5)Ulrichts P, et al. J Clin Invest. 2018;128(10):4372-4386.
6)Ward ES, Ober RJ. Trends Pharmacol Sci. 2018;39(10):892-904.
7)Koneczny I, Herbst R. Cells. 2019;8(7):671.
8)Howard JF Jr, et al. Neurology. 2019;92(23):e2661-e2673.
9)Dalakas MC et al.: Ther Adv Neurol Disord. 2021;14:1–7
10) Vaccaro C, et al.: Nat Biotechnol. 2005; 23(10): 1283-1288..
FcRnは、MHCクラスI分子に類似した構造を持ち、α鎖とβ鎖(β2m※)の2つのポリペプチド鎖からなるヘテロ二量体を形成する受容体です。
生理的な内因性IgGは、Fc領域でFcRnと、中性下では結合せず、酸性下で結合します。
フラグメント製剤であるエフガルチギモドは、Fc領域でFcRnと、中性下(結合親和性:8.59±1.35)と酸性下(結合親和性:0.35±0.06)の両方で結合します※。
※社内資料:カニクイザル内因性IgGに対する薬理作用(承認時評価資料)(CTD2.6.2.2.3.2.3)
その他に、構造によって以下のような結合様式があることが報告されています。
※ β2m; β2ミクログロブリン
1)Sockolosky & Szoka, Adv Drug Deliv Rev. 2015 Aug 30;91:109-24.より改変
In vitroにおいて、エフガルチギモドはヒトIgG1に近い細胞内輸送挙動を示しました。
試験方法:hFcRn-GFP(緑色蛍光タンパク質)を発現する内皮細胞(HMEC-1)に、蛍光標識したエフガルチギモド、ヒトIgG1(アイソタイプコントロール)、完全長抗FcRn抗体(完全ヒトモノクローナル抗体)をそれぞれ25、200、及び75μg/mLでパルスし、0、30及び120分間観察した。
2)Ulrichts P, et al.: J Clin Invest. 2018; 128(10): 4372-4386
[COI] 本試験はargenx社の支援のもと行われた。著者にargenx社よりコンサルタント料等を受領している者が含まれる。
また、著者にargenx社の社員が含まれる。
健康成人に、エフガルチギモドを1週間間隔で4回2時間かけて静脈内投与したときのIgA、IgD、IgE、IgM、アルブミンの血清濃度(%T0)のベースラインに対する変化率は下図の通りでした。
試験方法:健康成人(n=8)に、25mg/kgのエフガルチギモドまたはプラセボ(6:2でランダム化)を1週間間隔で4回2時間かけて静脈内投与した。IgA、IgD、IgE、IgM、アルブミンの血清濃度(%T0)のベースラインに対する変化率を示す。
※本邦で承認されたヒフデュラの用法及び用量:
通常、成人には本剤1回5.6mL(エフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)として1,008mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として11,200単位(2,000単位/mL))を1週間間隔で4回皮下投与する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。
2)Ulrichts P, et al.: J Clin Invest. 2018; 128(10): 4372-4386
[COI] 本試験はargenx社の支援のもと行われた。著者にargenx社よりコンサルタント料等を受領している者が含まれる。
また、著者にargenx社の社員が含まれる。
さらに詳しいヒフデュラの作用機序については動画をご覧ください。
【再生時間】6分2秒
JP-VJMG-24-00111(2024年2月作成)