CIDPの症状アセスメント

CIDPの重症度評価1,2)

●能力障害スケール

INCAT:上肢と下肢の運動機能をそれぞれ0~5点の6段階で評価する
I-RODS:生活にかかわる24の質問について、患者自身が0~2の3段階で評価する

●機能障害スケール

MRC sum score:肩関節、肘関節、手関節、股関節、膝関節、足関節の両側(合計12か所)で筋力テストを行い、0~5点の6段階で評価する
mISS:上下肢のpin prick、振動覚、示指での2点識別覚をそれぞれ5段階で評価する
Neuropathy Impairment Score:脳神経、筋力、反射、感覚といった神経系の診察所見をスコア化する
握力:握力計で簡便に測定できる

●その他

歩行機能:TUG test, 10-Meter walk testが指標として用いられる
ODSS, ONLS:上肢・下肢の運動機能について評価する(大規模研究では、INCATが使用されることが多い)

INCAT(Inflammatory Neuropathy Cause and Treatment)とは3,4)

  • 上肢と下肢の運動機能をそれぞれ0~5点でスコア化し、10点満点で評価する
  • 1点以上の改善があれば有意な改善と評価できる
  • 医療従事者が客観的に評価する必要がある

※調整INCATでは、「上肢スコアで0と1との間の変化は有意としない」とする点に注意する。

INCATとは

監修:山口大学大学院医学系研究科 保健学専攻 教授 古賀 道明 先生

I-RODS(Inflammatory Rasch-built Overall Disability Scale)とは4,5)

  • 24項目のスケールで、一般的な日常動作や社会活動を実施する際の難易度を0~2で評価する
  • 結果はノモグラムを用いた百分率指標スコアに変換し、4%以上の改善で有意な改善と評価できる
  • 患者自身で記録が可能
I-RODSとは

監修:山口大学大学院医学系研究科 保健学専攻 教授 古賀 道明 先生

I-RODSスコア入力・スコア変換ツール

①I-RODS24項目に回答してスコアを計算する

I-RODSを測定します。以下の24項目の質問に○△×のどれかで回答してください。
※24項目の中で、日ごろ行わない動作がある場合は、「〇:問題なくできる」を選んでください。

○(2点)
問題なくできる
△(1点)
やや問題があるができる
×(0点)
できない

最後にスコアが表示されるので、測定日と一緒に記録しておきましょう。

新聞や本を読む
食べる
歯を磨く
上半身を洗う
トイレに座る
サンドイッチを作る
上半身の服を着る
下半身を洗う
いすを移動させる
鍵穴に差し込まれた鍵を回す
かかりつけ医に行く
シャワーを浴びる
お皿を洗う
買い物をする
物をキャッチする(ボールなど)
前かがみになって物を取る
1つ上の階まで階段を上がる
公共交通機関で移動する
障害物を避けながら歩く
屋外を歩行する(1km以内)
重い物を運んで、降ろす
ダンスを踊る
数時間の起立
走る
○を選択した数 0
△を選択した数 0
×を選択した数 0

評価項目の合計点
※24項目の合計点(最大48点)
0

I-‍RODSスコア‍=
(最大100点)

0
②I-RODS24項目の〇△×の数からスコアを計算する

I-RODSを測定したときに、合計スコアを計算するためのツールです。
判定した〇△×の数を下の空欄に記入してください。

入力した数の合計
0
合計の最大値
24

評価項目の合計点
※24項目の合計点(最大48点)
0

I-‍RODSスコア‍=
(最大100点)

0
③I-RODS24項目の合計点からスコアを計算する

I-RODSを測定したときの合計スコアからI-RODSスコアを求めます。
合計点を下の空欄に記入してください。

I-‍RODSスコア‍=
(最大100点)

0

握力1,2)

  • INCATとパラレルに変化し、INCATより早く症状の変化が捉えられる
  • 患者自身で簡単に測定可能
  • 3日以上連続して測定しその平均を用いれば信頼度が高まる
  • 10%以上の改善で有意な改善と評価できる
Saehan® Hydraulic Dynamometer Saehan® Hydraulic Dynamometer

画像提供:酒井医療株式会社(ALL Rights Reserved)

1)Van den Bergh PYK, et al.: Eur J Neurol. 2021; 28(11): 3556-3583.(PMID:34327760)より作成
[COI]著者にargenx社より講演料、コンサルタント料等を受領している者が含まれる。
2)日本神経学会 監修: 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー, 多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン作成委員会 編集: 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー, 多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン2024, p.15-17, 南江堂, 2024.より作成
3)Hughes R, et al.: Neurol. 2001; 50(2): 195-201.(PMID:11506402)より作成
4)日本神経学会 監修: 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー, 多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン作成委員会 編集: 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー, 多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン2024, p.91-93, 南江堂, 2024.より作成
5)Van Nes SI, et al.: Neurology. 2011; 76(4): 337-345.(PMID:21263135)より作成

JP-VDJCIDP-24-00062(2024年12月作成)