CIDPは末梢神経での脱髄1)により四肢筋力低下と感覚障害が生じる疾患です。
CIDPは末梢神経での脱髄1)により四肢筋力低下と感覚障害が生じる疾患です。
脱髄の原因
胸腺ではT細胞、骨髄ではB細胞が産生され、T細胞はB細胞を活性化し、B細胞は成熟して抗体を分泌します。ここで免疫系に異常が生じると、自己抗体が産生されます3,4)。
CIDPでは自己抗体としてIgG、IgM、IgAの分泌や、自己反応性T細胞が報告されており、これらがCIDPの発症に関与していることが示唆されています3,4) 。
血液神経関門は、有害物質やリンパ球から末梢神経を守るはたらきを持っています。
しかし、T細胞が外来抗原によって活性化されると、サイトカイン、ケモカインなどの炎症性メディエーターが分泌され、血液神経関門の破綻を誘発します1)。
血液神経関門が破綻すると、IgG自己抗体やマクロファージが髄鞘にアクセスできるようになります1,5)。
CIDPの病態には、各種免疫グロブリンや補体経路等が関与し、IgGも重要な役割を担うことが報告されています。
IgG自己抗体の髄鞘への結合がトリガーとなり、①マクロファージの動員、②補体経路の活性化によって膜侵襲複合体の形成やより多くのマクロファージの動員が生じ、髄鞘の傷害に繋がることが考えられています1,5,6)。
※ 髄鞘の傷害にIgG自己抗体や補体が関与することは仮説であり、完全には証明されていません。
1)Mathey EK, et al.: J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2015; 86(9): 973-985.(PMID:25677463)
2)日本神経学会 監修: 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー, 多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン作成委員会 編集: 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー, 多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン2024, p.2-3, 6, 南江堂, 2024.
3)Rubin M.:Overview of Neuromuscular Junction Disorders(神経筋接合部障害の概要). アクセス日: 2024年8月22日.
https://www.merckmanuals.com/home/brain-spinal-cord-and-nerve-disorders/peripheral-nerve-and-related-disorders/overview-of-neuromuscular-junction-disorders
4)Wolbert J, et al.: JCI Insight. 2020; 5(3): e132411.(PMID:32051341)
5)Koike H, et al.: Neurol Ther. 2020; 9(2): 213-227.(PMID:32410146)
6)Querol LA, et al.: Neurotherapeutics. 2022; 19(3): 864-873.(PMID:35378684)
JP-VDJCIDP-24-00062(2024年12月作成)